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□ 2015/06/04 中国でも復元力無視で観光船が転覆・明らかな人災 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
長江(中国・全長6300km)で450人余りを乗せた観光船「東方之星」が転覆し、乗客乗員の大半が行方不明になっている事故で、軍の潜水チームは船内の捜索を続けると共に、露出した船底に穴を開ける作業を始めた。 クレーン船による船体のつり上げも検討され、追加のクレーン船の到着を待って実施に移されるとのことだが、河川で運用されているクレーン船の能力で果たして事足りるのかは不明だ。 |
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船舶の復元力・浮力の中心とメタセンタ】 「流体中の物体はその浮力の大きさに等しいだけ見かけの重量を減ずる」と言う原理から、流体中の物体により排除された流体の重心を「浮力の中心」、または「浮力の作用点」と呼び、船舶の設計に於いては重要な意味を持つ。特に外洋の荒波の中で船の安定を維持するには絶対に不可欠な条件だ。 従って、自ずと流れの穏やかな湖や河川、内海や沿海等で使われる船舶と、波の荒い外洋で使われるものとでは設計理念が異なってくる。つまり、水深の浅い場所が点在する河川を航行する船舶は平底仕様が用いられることが多く、特により多数を乗船させたいと望む観光船では、上部構造が大きくなる傾向が強い。その結果、重心の位置が高くなり不安定になってしまう。 「東方之星」は上部構造が4層で重心の位置が甚だ高い。日本やヨーロッパで用いられる低重心の観光船とは根本的に異なる設計思想であることが判る。 2014年に沈没した韓国の客船「セウォル号」は、耐用年数が過ぎ、老朽化が進んだことにより、日本が屑鉄として販売したもので、購入先がそれを改装して貨客船として就航させた。改装を請け負った会社は大型客船の改装実績が全く無く、非常識な改造により重心が51cmも上がり、復原力が大きく損なわれていたことが転覆原因の一つとして挙げられている。(トップ・ヘビーは韓国海軍の得意分野だが…) ヨットは風の力を利用する大きな帆が特徴の船舶で、浮力も高く、重心の位置も極端に高い構造になっている。それ故、船底に重い錘(キール)を装着し、復元力の改善を図っている。(下図の矢印部分) |
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浮揚軸・浮揚面・浮面心・喫水並びにメタセンタ 上の矢印がヨットのキール |
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物体の重量をW、浮力をBとすると、他に力が作用しないと仮定すると、物体はW>Bで沈下し、逆にW<Bで浮上する。またWとBが同一線上にない場合は回転することになる。 従って、浮揚して静止する物体の浮力は、その物体の圧力により排除された流体の重量に等しく、その「作用線」は物体の中心を貫くことになる。 物体の重心Gと、浮力の中心を貫く鉛直線(糸に鉛を吊るした際にできる直線)を浮揚軸と呼び、浮揚面とは浮揚する物体の水面による切断面を指す。 更に、浮面心とは浮揚面の中心を指し、喫水は浮揚面から物体の最下部までの距離を指す。 また、上図の左のように安定して浮揚する物体を右のように傾けると、新たに移動した浮力の作用線と浮揚軸とが交わる。この交わった点をメタセンタと呼びMで表わす。そしてメタセンタの高さとは重心からメタセンタの長さhを指す。 浮揚体はメタセンタMが重心Gの上にあり、重さWと浮力Bとが吊り合っている場合は安定し、逆にメタセンタが重心の下方にある場合は不安定となる。 (参照:ウキの流体力学的研究 http://www.in-ava.com/dai1-2.html |
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上図は平底船舶と海で用いられるものいの違いを表わした断面図で、喫水から下の部分の占める割合が明らかに異なる。これが重心の位置に大きく影響し復元力の違いとして現れるのだ。 「東方之星」が上部構造も2層であれば今回の悲劇は生まれなかったことは明らかだ。 下は日本独自の設計による初の超弩級戦艦「扶桑」の勇姿だが、水面から艦橋の最高部までがおよそ50mもあり、上部構造物の高さが妙に気になる艦だ。しかし、荒波の中でも問題無く運用できていたので、当時の日本の設計力の高さが窺える。 |
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